確定申告が必要な人とは?対象になる条件と申告のやり方を解説

- 給与所得者でも、給与以外の所得の合計が20万円を超える人は確定申告が必要。
- 給与の年間収入が2,000万円を超える人は、年末調整があっても確定申告が必要。
- 公的年金等の収入が400万円以下で年金以外の所得が20万円以下なら、原則として所得税の申告は不要。
- 医療費控除・住宅ローン控除・ふるさと納税(ワンストップ未利用)を使う人は、申告すれば税金が還付される。
- 申告期限は原則として翌年3月15日まで。怠ると無申告加算税や延滞税がかかる。
確定申告が必要な人とは?まず結論を確認

確定申告が必要な人とは、1年間の所得に対して納めるべき所得税が、源泉徴収などで精算しきれていない人のことです。
私は税理士事務所で7年、個人事業主や副業者の申告サポートを担当してきました。毎年いちばん多い相談が「自分は対象なのか」というもの。まずはここをはっきりさせます。
確定申告とはそもそも何か
確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得と税額を自分で計算し、税務署に申告して納税する手続きです。
会社員の多くは「年末調整」で会社が代わりに精算してくれます。だから普段は確定申告を意識しません。ところが、副業や医療費、投資の利益などが絡むと、年末調整では処理しきれない部分が出てきます。そこを自分で申告するのが確定申告です。
申告が必要な人・不要な人の境界線
申告が必要かどうかは、国税庁が示す判定条件にあてはまるかで決まります。
代表的なのは次の3つの基準です。給与の年間収入が2,000万円を超える人、給与を1か所から受けていて給与以外の所得が20万円を超える人、給与を2か所以上から受けていて年末調整されなかった給与と他の所得の合計が20万円を超える人。これらは国税庁のタックスアンサーに明記されています。
| 状況 | 判定の基準 |
|---|---|
| 給与収入が高い | 年間給与収入が2,000万円を超える |
| 1か所から給与+副業 | 給与以外の所得の合計が20万円超 |
| 2か所以上から給与 | 年末調整されない給与と他の所得の合計が20万円超 |
| 同族会社の役員 | その会社から貸付金の利子や賃貸料を受けている |
| 退職所得 | 正規計算した税額が源泉徴収額より多くなる |
確定申告した方が得な人(還付申告)
申告義務はなくても、申告すれば払いすぎた税金が戻ってくる人がいます。これを還付申告と呼びます。
国税庁も「確定申告をすれば税金が還付される人」を、申告が必要な人とは別の例外として明示しています。たとえば医療費が多くかかった年、住宅ローンを組んだ初年度、年の途中で退職して年末調整を受けていない人などです。
正直に言うと、ここを知らずに損している人は本当に多い。義務ではないので放置されがちですが、数万円戻ることも珍しくありません。
給与をもらっている人で確定申告が必要なケース
会社員でも、副業所得が20万円を超える人や年収2,000万円超の人、各種控除を使いたい人は確定申告が必要、または申告した方が得になります。

副業・複数収入がある人の20万円ルール
副業の所得が年間20万円を超えると、給与を1か所からもらっている会社員でも確定申告が必要になります。
ここで誤解が多いのが「20万円は売上ではなく所得」という点。たとえば副業の売上が30万円でも、経費が15万円かかっていれば所得は15万円。この場合は20万円以下なので、所得税の申告義務はありません。
年収2,000万円超や複数の会社から給与がある場合
給与の年間収入が2,000万円を超える人は、年末調整の対象外となり、必ず確定申告が必要です。
また、2か所以上から給与をもらっている人も注意が必要です。年末調整は1社でしかできないため、調整されなかった給与と他の所得の合計が20万円を超えると申告義務が生じます。掛け持ち勤務やダブルワークの人はここを見落としがちです。
医療費控除・住宅ローン控除・ふるさと納税を使う場合
医療費控除や住宅ローン控除(初年度)、ワンストップ特例を使わなかったふるさと納税は、確定申告をしないと適用されません。
これらは義務というより「やれば得する」申告です。住宅ローン控除は1年目だけ確定申告が必要で、2年目以降は年末調整で処理できます。ふるさと納税はワンストップ特例を出していれば申告不要ですが、医療費控除など他の理由で申告する場合はワンストップが無効になるので、寄附分も申告書に書き直す必要があります。
事業所得・不動産所得がある人の確定申告
フリーランス・個人事業主や不動産収入がある人は、所得が一定額を超えると確定申告が必要になります。

フリーランス・個人事業主が申告すべき基準
事業所得や不動産所得から各種控除を引いて、なお課税される所得が残る人は確定申告が必要です。
会計ソフトの弥生の解説では、2025年以降の基礎控除額等の改正を前提に「所得が95万円を超える人は申告が必要」と案内されています。ただし基礎控除額は改正の影響を受けるため、最終的な要否は国税庁の最新の判定ページで確認してください。
青色申告と白色申告の違いとメリット
事業所得がある人は、青色申告か白色申告を選べます。手間はかかっても、控除の大きさで青色が有利です。
私が担当した個人事業主の方には、よほどの事情がない限り青色申告を勧めてきました。複式簿記で帳簿をつけ、e-Taxで申告すれば最大65万円の特別控除が受けられます。これは所得から直接引ける額なので、節税効果が大きいです。
| 項目 | 青色申告 | 白色申告 |
|---|---|---|
| 事前の届出 | 開業届と青色申告承認申請が必要 | 不要 |
| 帳簿 | 複式簿記など | 簡易な記帳 |
| 特別控除 | 最大65万円(要件あり) | なし |
| 赤字の繰越 | 最大3年繰越できる | 原則できない |
正直、開業したての頃は「白色の方が楽そう」と思う人が多い。でも今は会計ソフトが複式簿記を自動でやってくれるので、青色のハードルはかなり下がっています。私自身、副業ライターとしての申告も青色で続けています。
経費の範囲と帳簿付けの基礎
経費にできるのは、その事業で売上を得るために直接かかった費用だけです。
通信費、消耗品、取材交通費、仕事で使う書籍などは経費になります。判断に迷うのが、自宅兼事務所の家賃や光熱費。これは事業で使っている割合分だけを「家事按分」して経費にします。プライベートとの線引きが曖昧なものほど、按分の根拠を残しておくのが安全です。
その他の所得がある人の確定申告

投資・退職金・年金・海外収入など、給与や事業以外の所得がある人も、内容によって確定申告が必要です。
株式・FX・暗号資産の利益がある場合
株式・FX・暗号資産の利益は種類によって課税の仕組みが違い、申告が必要になる場合があります。
上場株式の利益は、証券会社の「特定口座(源泉徴収あり)」を使っていれば原則申告不要です。一方、暗号資産の利益は雑所得として総合課税になり、給与所得者なら他の所得と合わせて20万円を超えると申告が必要になります。FXは申告分離課税です。同じ「投資の利益」でも扱いがバラバラなので、ひとくくりにしない方がいいです。
退職金・一時所得・譲渡所得の扱い
退職金は通常、会社が源泉徴収して完結しますが、計算結果によっては申告が必要になります。
退職所得について正規の方法で税額を計算した結果、源泉徴収された税額より多くなる人は確定申告が必要です。逆に「退職所得の受給に関する申告書」を出していない場合、税金を払いすぎていて還付申告で戻ることもあります。生命保険の満期金などは一時所得、土地建物を売った利益は譲渡所得として扱われます。
年金受給者の400万円以下申告不要制度
公的年金等の収入が400万円以下で、かつ年金以外の所得が20万円以下なら、原則として所得税等の確定申告は不要です。
これは「確定申告不要制度」と呼ばれるもの。ただし注意したいのは、申告不要でも医療費控除などで税金が戻る場合があること。申告不要は「義務がない」だけで、「申告した方が損」という意味ではありません。
海外収入・外国税額控除がある場合
日本に住んでいる人(居住者)は、海外で得た所得も含めて日本で申告するのが原則です。
海外の株配当や国外勤務の報酬などで現地でも税金を払っている場合は、二重課税を避けるために「外国税額控除」を申告で使えます。非居住者かどうかで扱いが大きく変わるため、海外赴任や移住が絡む人は、自己判断せず専門家に確認することを勧めます。
確定申告のやり方と必要書類
確定申告は、必要書類をそろえ、税務署・郵送・電子申告(e-Tax)のいずれかで提出します。今はスマホとマイナンバーカードだけで完結できます。

必要書類の準備と各種控除の確認
申告に必要なのは、収入を示す書類と、控除を証明する書類の2種類です。
会社員なら源泉徴収票、事業者なら売上と経費の帳簿。控除に使うのは、医療費の領収書(または医療費通知)、生命保険料控除証明書、ふるさと納税の寄附金受領証明書、住宅ローンの残高証明書などです。これらは年末から年明けにかけて届くので、捨てずにまとめておくと後が楽です。
税務署・郵送・スマホ申告の選び方
提出方法は3つあり、自分で完結させたいなら電子申告(e-Tax)がもっとも早いです。
| 方法 | 向いている人 | ポイント |
|---|---|---|
| 税務署で提出 | 書き方を相談したい人 | 会場が混雑する時期がある |
| 郵送 | 対面が不要な人 | 控えの返送には返信用封筒が必要 |
| e-Tax(電子申告) | 早く自宅で済ませたい人 | 還付が早く、添付省略できる書類がある |
私は数年前からe-Tax一択です。理由は単純で、自宅で終わるのと還付が早いから。紙より戻ってくるのが体感でかなり早いです。
マイナンバーカードを使った電子申告の手順
マイナンバーカードとスマホがあれば、自宅でe-Taxの申告まで完結できます。
- 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスする。
- スマホでマイナンバーカードを読み取り、マイナポータルと連携する。
- 画面の案内に沿って収入・控除を入力する。
- 内容を確認して送信し、受付結果を保存する。
マイナポータル連携を使うと、生命保険料控除や医療費、ふるさと納税のデータが自動で入力欄に取り込めるようになってきました。手入力が減るので、対象になる人は連携しておくと楽です。
申告の期限・ペナルティと税金以外への影響
確定申告の期限は原則として翌年3月15日まで。遅れると加算税や延滞税がかかり、住民税や国民健康保険料にも影響します。

申告期限と納税のスケジュール
所得税の確定申告と納税の期限は、原則として申告する年の翌年3月15日です。
還付申告は、対象となる年の翌年1月1日から5年間できます。つまり「去年の医療費控除を出し忘れた」という場合でも、まだ間に合うことが多いです。義務のある申告と還付申告で期限が違う点は覚えておいてください。
申告を怠った場合のペナルティ
期限までに申告しないと、無申告加算税や延滞税といった追加の税金が課されます。
本来納める税金に上乗せされる形なので、「バレなければいい」では済みません。特に副業や投資の利益は、支払い元から税務署にデータが渡っているケースが増えています。気づいたら早めに申告するのが、結果的にいちばん負担が軽いです。
住民税・国民健康保険料への影響
確定申告の内容は、そのまま住民税や国民健康保険料の計算に使われます。
所得税では「20万円以下なら申告不要」でも、住民税にはこのルールがありません。副業所得が20万円以下で所得税の申告をしなかった場合でも、住民税の申告は別途必要になることがあります。国民健康保険に加入している人は、所得が増えると翌年度の保険料も上がる点に注意してください。
【独自】判断に迷う人のためのケース別チェックと相談の目安

申告が必要かどうかで迷う人の多くは、「申告不要」と「申告すれば得」を混同しています。ここを整理すれば判断がはっきりします。
混同しやすい『申告不要』との境界線整理
「申告不要」には2種類あります。義務がない場合と、申告した方が得な場合です。
たとえば副業所得20万円以下や年金400万円以下は「義務がない」だけ。一方で医療費がかかった年や退職した年は、義務はなくても申告すればお金が戻ります。私が相談を受けてきた中でいちばん多い損は、この後者を「不要だから」と放置してしまうケースでした。
| タイプ | 例 | おすすめの動き |
|---|---|---|
| 義務がない(やってもメリットなし) | 副業所得20万円以下で源泉徴収なし | 原則そのままでよい(住民税申告は確認) |
| 義務はないが、やれば還付 | 医療費控除・住宅ローン1年目・途中退職 | 還付申告をした方が得 |
扶養控除・配偶者控除との関係
自分の所得が増えると、配偶者の扶養から外れて世帯の税負担が変わることがあります。
パート収入や副業がある人は、自分が誰かの扶養に入っているか、誰かを扶養しているかを確認してください。配偶者控除・配偶者特別控除は所得に応じて段階的に変わります。「申告したら扶養から外れて損した」とならないよう、世帯全体で見るのが大事です。
税理士に依頼すべきケースと費用相場
申告内容が複雑な人や、時間を節約したい人は税理士への依頼を検討する価値があります。
会社員の還付申告くらいなら、正直、自分でe-Taxで十分です。一方で、事業所得が大きい人、不動産を売った人、海外収入や相続が絡む人は、専門家に任せた方が安全です。費用は内容と規模で大きく変わるため、依頼前に複数の事務所で見積もりを取ることを勧めます。
確定申告が必要な人のよくある質問
最後に、読者からよく聞かれる質問をまとめます。

よくある質問
自分が対象か迷ったら、まず源泉徴収票と1年分の収入・控除の書類を1か所に集めてみてください。手元がそろうと、判断も入力も一気に進みます。今年の分は、早めに片付けてしまいましょう。
